【無線部アドカレ 12/5】5日なので、5MHz帯の話でもしようか。

*こちらは、「大学無線部アドベントカレンダー」12/5日用の記事になります。

adventar.org

 

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各局

 

JJ1AHSです。

 

ブログ2本目ですが、今日は趣旨とは離れて「大学無線部アドベントカレンダー」に掲載する12/5の記事を投稿します。

 

さてみなさん、本日は12月5日です。

5日と言えば、何を思い浮かべますか?
そう、60mバンド(5MHz帯)ですよね!

 

なんだそれ、聞いたことねえやという方もいらっしゃるかもしれません。それもそのはず、60mバンド(5MHz帯)は2002年から割り当てが始まった比較的新しい周波数帯で、しかも日本ではまだ許可されていません。しかし、アメリカ(W)やオーストラリア(VK)、ドイツ(DL)などを始めとする諸外国では割り当てが始まっており、各国の愛好家たちが、日々たくさんのQSOをしています。

 

そこで今日は、5日という日付に合わせ、5MHzについてまとめてみたいと思います。

 

 

5MHz帯についてまとめてみました!

 

5MHzの電波特性

3.5MHz帯と7MHz帯との間となる5MHz帯は、それらの中間の電波特性をもっています。特に、3.5MHzよりも電離層のD層による減衰を受けにくい為、最大650kmまでの中長距離通信には最適な周波数とされているようです。

東京から、北は7エリア北端の八戸、南は4エリアの岡山くらいが約650kmですから、日本では国内通信に最適とな周波数と言えるでしょう。

 

各国の5MHz帯事情

現在、5MHz帯は国際電気通信(ITU)によって世界の全地域に許可されていますが、それは各国内で許可されるかとはまた別の話。(実際に、JAでは許可されていません。)

各国で許可されている5MHz帯にはいくつかの割り当てられ方があり、日本の7MHz帯や430MHz帯などのように、ある程度の幅を持った「バンド」で割り当てられる場合と、特定の周波数のみの「チャンネル」で割り当てられる場合がほとんどです。*1

 

オーストラリア(VK)、EU各国などのほか、JAのご近所では中国(B)、インドネシア(YB)やフィリピン(DU)などでは5351.5kHzから5366.5kHzまでの、15kHz幅ほどのバンドで許可され、アメリカ(W)などでは、いくつかの周波数がチャンネルで許可されています。*2*3*4これらのほとんどでCWやSSBが許可されるうえ、もちろんデジタルモードも運用が可能です。

 

日本での割り当ては?

日本でも、5MHz帯のアマチュア業務に割り当てに対する要望は出ており、総務省が令和2年9月から10月に行ったパブリックコメントでは、JARLなどから5MHz帯割り当てに関する要望が出されていましたが、近年のバンドプラン改正でも5MHzは割り当てられないままで、その雰囲気すらも感じられません。

JA国内では現在、5MHz帯周辺は、公共業務用・放送事業用・一般業務用などに割り振られています。しかしながら、近年のバンド拡張では、同じく公共・一般業務を1次業務とする1.8MHz帯や3.5MHz帯が、アマチュア業務に2次業務として周波数拡張の割り当てを受けていますので、今後可新たにアマチュア業務に割り当てられる能性もあるのではないでしょうか。

 

我々も5MHzを楽しみたい!

ここまでこの記事を読んでくださった皆さんの中には、「外国の人たちだけ60mバンドをENJOYしててずるーい!」と思われている方もいるとおもいます。しかし、JAの私たちも、5MHz帯を楽しむことができます。

それは、外国のQSOを受信することです。
周波数の電波特性を鑑みても、夜間や夜明けなど、タイミングを見計らえばDX局のQSOが受信できそうです。*5それに加えて、以下のビーコン局が5MHzで運用されています。周波数や送信時間もあらかじめ決まっていますので、比較的受信しやすいのではないでしょうか。

 

60mバンド ビーコン局一覧(出典:Wikipedia

周波数(kHz)/コールサイン/国名/出力

5195.00 DRA5 ドイツ 記載なし

5205.25 LX0HF ルクセンブルク EIRP 5W

5288.80 9A5ADI/B クロアチア 100mW

5289.50 OV1BCN デンマーク 30/10/0.3W

5290.00 ZS6SRL 南アフリカ 記載なし

5290.00 ZS1OA 南アフリカ 記載なし

5291.00 HB9AW スイス 記載なし

 

受信だけであれば、3.5MHzや7MHzのダイポールアンテナでも十分可能かと思います。

5MHzでのQSOやビーコンの信号に耳を澄ませ、まだ見ぬ5MHz帯の魅力に思いを馳せてみるのも面白いかもしれません。*6

 

それでは。本日はこのへんで。

 

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参考文献

Wikipedia 「60-meter band」

60-meter band - Wikipedia

総務省 「『周波数再編アクションプラン(令和2年度第2次改訂版)』の公表」

総務省|報道資料|「周波数再編アクションプラン(令和2年度第2次改定版)」の公表

総務省 「周波数割り当て表 第1表 8.3kHz-27500kHz」

https://www.tele.soumu.go.jp/resource/search/share/pdf/wari1.pdf

 

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*1:ほかには、狭い幅の周波数帯で許可される、”ブロック割り当て(Block Allocations)”があります。

*2:ちなみに、カナダ(VE)はバンドとチャンネルの両方で許可されています。

*3:ブロック割り当てがされているのは、北マケドニアとイギリスの二か国です。

*4:しかし、そのほとんどでアマチュア業務は二次業務としての割り当てですので、1次業務の通信に妨害を与えないようにしなくてはいけません。

*5:後日、受信してみたよレポートも出せれば出したいですね。

*6:そして、機会を見て総務省に割り当てのパブコメを出しましょう。